はじめに|猫と本と、少しだけ勇気
「いつか猫と暮らしてみたい」
そんな気持ちを胸に抱えているあなたへ。
猫は気まぐれで自由。でも、その存在感は誰よりも大きくて、私たちの心を温めてくれます。
猫と暮らすことは、小さな命と心を通わせる日々です。
楽しいことばかりではないけれど、そのぶん愛おしさもひとしお。
そんな猫との暮らしの“予行演習”として、本の中の猫たちと出会ってみませんか?
ページをめくるたび、彼らのしぐさや表情に心がほどけていくはずです。
今回は、猫初心者さんにもおすすめの珠玉の10作品を丁寧にご紹介します。
一冊一冊が、あなたの猫との未来にそっと寄り添ってくれることでしょう。

ノラや|内田百閒
ノラが教えてくれた、失った後の愛の形
黒猫ノラと過ごした日々、そしてノラを失った後のぽっかりと空いた心。
内田百閒の『ノラや』は、静かで繊細な文章で「愛猫を失う」という深い悲しみを描いています。
ノラがいなくなった日々の寂しさと、その中で見えてきたノラの存在の大きさ。
悲しみの中にある、愛おしい記憶が胸に沁みます。
「猫を愛するって、こういうこと」
読後にきっと、あなたもそっと猫を抱きしめたくなる一冊。
夏への扉|ロバート・A・ハインライン
希望をくれる、猫と未来の物語
主人公ダンのそばにいつもいるのは、賢くて愛らしい猫ピート。
『夏への扉』はSF小説の名作でありながら、猫好きには特別な意味を持つ作品です。
何度もドアを開けて「もっといい夏」を探すピートの姿は、
絶望の中でも未来を信じる希望の象徴。
ピートの柔らかな毛並みや愛らしいしぐさが、ページ越しにあなたを癒します。
猫好きなら必ず心に残る一冊です。
夏への扉〔新版〕 (ハヤカワ文庫SF) [ ロバート・A・ハインライン ]

愛しのチロ|荒木 経惟
写真に残された、かけがえのない日常
写真家・荒木経惟と愛猫チロが共に過ごした最後の時間を切り取った一冊。
『愛しのチロ』は、モノクロ写真と文章が心を震わせます。
チロの柔らかな毛並み、細いしっぽ、何気ない仕草。
それらが永遠に失われてしまう悲しみと、それでも一緒にいられた幸せ。
ページをめくるたび、あなたの胸にも大切な猫との日々が蘇るよう。
静かな涙がこぼれる、特別なフォトエッセイです。
せかいいちのねこ|ヒグチユウコ
孤独と優しさが紡ぐ、子猫の成長物語
『せかいいちのねこ』は、美しいイラストと切なさが胸を打つ絵本。
ひとりぼっちの子猫が「せかいいちのねこ」になるための旅に出ます。
孤独、憧れ、そして出会い——ページをめくるたび、子猫の瞳に映る世界が私たちの心を映します。
読み終わった後、きっとあなたも「うちの子がせかいいちのねこ」と思うはずです。

11ぴきのねこ|馬場のぼる
みんなで笑える、猫たちの愉快な冒険
お腹をすかせた11ぴきの猫たちが、大きな魚を捕まえようと奮闘する人気絵本シリーズ。
ユーモラスで、時にちょっぴりドジな猫たちが愛おしくてたまりません。
親子で声を出して笑いながら読めるこの絵本は、猫の気ままさを楽しむ最高の一冊です。
「猫と暮らすって、こういう楽しいことがたくさん」
そんな気持ちになれます。
長い長いさんぽ|須藤真澄
愛猫ゆずとの最後の散歩、涙なしでは読めない一冊
須藤真澄が描く『長い長いさんぽ』は、愛猫ゆずを亡くした後の心情を描いたエッセイ漫画です。
ゆずとの出会い、日々の小さなしあわせ、そして避けられなかった別れ——
ページをめくるたび、ゆずの存在の大きさが伝わってきます。
「猫と暮らすことは、別れを迎える勇気を持つこと」
涙なしでは読めませんが、その後に残るのはあたたかい余韻です。
猫語の教科書|ポール・ギャリコ
猫目線で笑える、そして深く学べる
「猫が人間に教える、猫の取り扱い方」——
そんなユーモラスな設定で綴られる『猫語の教科書』。
ページのあちこちでクスリと笑えますが、読み進めるほど猫の心がわかってくる不思議な一冊。
猫初心者も、ベテラン飼い主も、「なるほど」とうなずきながら読める名作。

グーグーだって猫である|大島弓子
日常の愛しさと別れを描く、リアルな猫エッセイ
大島弓子が愛猫グーグーと過ごした日々を描くエッセイ漫画。
笑いあり、涙あり、そして猫と暮らす現実が詰まっています。
病気、老い、そして最期まで見届けること——
グーグーはあなたに「猫と生きる」ということの全てを教えてくれます。
猫と暮らす未来を考えている人にこそ読んでほしい一冊です。
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猫の事務所|宮沢賢治
猫たちの小さな声が、あなたの心に届く——
冷たい世界の中で、小さな猫たちは一生懸命に生きています。
短編ながら胸にじんわりと広がる切なさと優しさ。
どこか不器用な猫たちの姿が、人間社会の縮図のようでハッとさせられます。
読後、あなたはきっと「もっと猫に優しくありたい」と思うはず。
吾輩は猫である|夏目漱石
猫目線で見た人間世界に、笑いと哲学が詰まってる
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」——
あまりにも有名なこの冒頭から始まる物語は、猫の目を通して人間社会の喜怒哀楽をユーモラスに描きます。
ユーモアに笑い、哲学的な一節にうなずき、ページをめくるたびに愛しい猫があなたの隣にいるような気持ちに。
猫好きにはもちろん、文学好きにもぜひ読んでほしい一冊です。

結び|あなたと猫が歩く物語のはじまり
猫と生きることは、喜びと切なさが入り混じった特別な旅。
本の中の猫たちは、その旅の美しさと尊さをそっと教えてくれます。
あなたも一冊手に取り、猫と出会う旅を始めてみませんか?
きっと、物語の中で見つけた“あの子”が、あなたの未来の家族になるかもしれません。
筆者プロフィール|のりまき猫
猫との暮らし歴20年。現在は保護猫の預かりボランティアとして活動中です。
今までに9匹の保護猫を預かり、新しい里親さんとのご縁を繋げてきました。
自身の経験から、猫を「飼う前」も「飼った後」も知っておくべきリアルな話をお届けしています。
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